【第10回】濱野 富士代 先生

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『私と統合医療』


濱野 富士代 (ハマノ フジヨ)
山口柱氣の会  会長
IMJ山口県支部 気功部会長

  今から20数年前、看護師としての勤務中にメニエル氏病になりました。内服治療よりも効果があったのは、大好きな卓球をすることでした。眩暈が軽減したのです。西洋医学を決して否定するのではありません。確かに身体の中で気の流れの実感があり、不思議な体験を繰り返し、その経験から気功教室を開設しました。教室に通って頂いている方々の中には、高齢者の方が多く、体調不全やストレス・疾患を抱えている方が少なくありません。私は気功の力を使って手助けをしたいと考えましたが、中国の気功法をそのまま伝えてもいろいろな問題が多くて上手くいかず、中国の気功法が身体に良いといっても、実際には無理なことが多いです。そのうち、気功の本髄を崩すことなく、誰でもどこでも簡単にできる気功を生み出すことに成功しました。それはサッカーボールの絵柄のビーチボールをヒントとした新しい気功法です。その功法に参同して頂いた柴田会長先生から、第6回統合医療学会での講演のご依頼を頂きました。講演後もさらに発展させ、ボール以外のグッズを発見し、これを使っての気功法も生み出しました。不眠症、動悸、頻尿、腰痛、肩痛などが軽減したのは事実ですが、これらの功法の理論を立証することは容易ではありません。改善された声は多く聞かれましたがはっきりと目でわかるように確かめることは難しいです。身体に触れることなく気の流れを促すだけで、症状の緩和が測れる・・・といった気の効能を症例として数値で表すことはとても困難です。どんな治療法をしていても、今の身体の状態において、気の流れを促すことができれば、相乗効果はあるはずです。西洋医学と東洋医学の両方の治療が今後の医療に不可欠というのが、かねてからの私の思いでありました。統合医療との出会いは、まさに願ってもない出来事でした。最近、テレビなどで放映されている健康ストレッチ法などは、ご年配の方にはお勧めできません。その動作をちょっと気功的な動作に変えるだけでいいのに・・・と、テレビを見ながらいつも残念な気持ちでいっぱいです。Bodyなのです。また、気功教室でMind、Spiritな面を指導することが増えてきました。今回予定の統合医療学会のサブテーマが『Body,Mind、Spiritの存在』とのこと、まさしくこれから統合医療での気の研究がもっとできるようになり、気の証明に繋げていきたいと考えます。その場が統合医療なのです。

【略歴】
1972年 新日本製鉄所病院高等看護学校卒 同病院勤務
1980年 山口労災病院勤務
1993年 気功教室設立

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【第9回】坂部 昌明 先生

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『専門分野からみた統合医療』


坂部 昌明 (サカベ マサアキ)
公益財団法人未来工学研究所 客員研究員
森ノ宮医療大学保健医療学部 兼任講師


 私は医療に関する免許制度研究を進めています。私には、現在の日本の医療制度が「実に早急な転換が必要な時期」に差し掛かっているように見えています。これは医療の在り方に対する医療の専門職の考え方だけでなく、日本の制度、また国民全体の考え方にまで及ぶものです。

現在の日本の医療は、疾病の治療を主体とした医療システムであると言えます。しかし、疾病治療型の医療システムでは「患者になりうる国民」を減らすことに貢献できません。既に多くの医療の専門職の方々、あるいは政府、省庁その他行政の皆さんが、現状を打開するため知恵をめぐらせています。しかし、今一つ納得のいく策を講じることができないでいらっしゃるのではないでしょうか。
免許制度は、本来、「国民の生命や健康を保護する」ことを目的としています。医療や介護等の分野(以下、医療介護分野)に携わる場合、免許を受けることが必須となると考えてよいでしょう。しかし、ここで注目すべきは、医療介護分野のみが国民の「生命や健康」に寄与するものではないということです。むしろ、傷病の治療あるいは介護を受けるという場面は、「非日常」です。多くの傷病者や被介護者は、治療あるいは介護を受けていない時間も「生活して」います。例えば住まいに関わる産業、健康の維持増進に関わる産業、あるいは日用品の購入に関わる製造・生産業など多種多様な分野との関係を持って、彼らは生活を続けているのです。

今後、医療介護分野はどれだけ「これまで自分たちと関係がない」と思い込んでいた分野との相互連携できるかが重要になるでしょう。「餅は餅屋に」と言います。医療介護分野は、自らが「担うことのできない分野」について十分に認識し、エアポケット化しうる部分を誰が担うのかを意識すべきです。そして、社会の多様性を鑑み、現在不要に見えるものを除外してしまおうとする考え方に陥らないように留意しなければならないでしょう。

統合医療とは、今後の人類に必要となる医療の在り方へ向かう経過的医療状態を指すキーワードだと、私は考えています。小手先の連携などではなく、大所高所から人類に必要な医療の在り方はなにかという視点で、改めて日本の医療を眺めてみませんか。そうすれば、おのずとみなさんそれぞれの「統合医療のさらに先」が見えてくるはずです。是非とも本大会で、その「在り方」を分け隔てなく語り合いたいものです。

【略歴】
明治鍼灸大学卒業(鍼灸師)。
京都府立医科大学大学院修士課程を修了(医科学修士)
主な研究分野は、法学の視点からの免許・医療制度等。
また山間・島嶼地域の医療への鍼灸の応用可能性を検討している。
第19回日本統合医療学会プログラム委員
タグ:鍼灸師
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【第8回】板村 論子 先生

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『私と統合医療』


板村 論子 (イタムラ ロンコ)
医療法人財団帯津三敬会 帯津三敬塾クリニック 理事長
一般社団法人日本ホメオパシー医学会 専務理事


今、アリゾナ大学の統合医療センターArizona Center for Integrative Medicine(AzCIM) で行われている統合医療フェローシップ・プログラムの卒業式に参加するためにアリゾナにいます。 このフェローシップはDr.Andrew Weilが1994年に始め、今年で20年になります。私がホメオパシーを学び始めた2000年頃からこのプログラムに興味を持っていたのですが、やっと(円高も追い風となって)受講することができました。ホメオパシーは従来の医療における"疾患"を中心とする医学モデルではなく、病気の"人"の回復を手助けするホリスティックな医療です。精神科医のアーサー・クライマンは"病いの語り"の中で、病いillnessは人間に本質的な経験である症状や患うこと(suffering)の経験であり、一方疾患disease は治療者の視点(近代西洋医学)からみた問題であり、病いを障害の理論に特有の表現で作り直す際に生み出されるものと述べています。近代西洋医学にもとづいた従来の医療は疾患、特定病因論のもとに治療が行われ、医療を供給する側の視点に立った医療システムです(医学モデル)。いままでと視点をかえた医療の受け手である"人"を中心とした医療システムが統合医療だと私は考えています。統合医療は人の人生において、生老病死、健康・未病・病気のさまざまな状態で関わってきます。統合医療とは、これまでの西洋医学に基づいた従来の医療の枠を超えて、種々の相補・代替医療、生きていくために不可欠な衣・食・住、さらには自然環境や経済・社会システムをも包含する医療システムです。フェローシップを卒業するにあたり、病気の"人"の回復を手助けする医療のホメオパシーから、"人"が "生きる"うえで必要な食・運動・コミュニュケーションを含めた統合医療の重要性をより感じるようになりました。まだまだ日本では統合医療は理解されていない状況ですが、統合医療女性の会の活動を通して、今求められている医療、私たちが実践すべき医療が統合医療であることを一人でも多くの人に伝えていきたいと思っています。

【略歴】
関西医科大学卒業後、京都大学大学院博士課程修了、医学博士。
マウントシナイ医科大学留学、東京慈恵会医科大学、帯津三敬病院を経て現職。
第19回日本統合医療学会プログラム委員
タグ:医師
posted by IMJ2015事務局 at 15:41 | A私と統合医療