【第5回】田中 マキ子 先生

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『私と統合医療』


田中 マキ子 (タナカ マキコ)
山口県立大学看護栄養学部教授 
山口県立大学大学院健康福祉学研究科長 
       
  
 私は、看護職として30数年のキャリアを有しますが、近代科学の成果としての医学への信頼はもとより、伝統医学や相補・代替医療として称される統合医療に大変興味を持つと同時に期待をしています。

 子どもの頃、こんな経験をしました。叔母が、料理中、腕にやけどをしました。我慢強い叔母は、家族に隠し自分でやけどの手当をしていました。小麦粉を練って、腕にあて、熱を取っていたのです。やり方次第では、感染をおこし、皮膚が大変な状況になって・・・等々、言えばきりがなく危険な行為かもしれません。しかし「昔の人は、みんなこうしていた」と、自分で自分の傷を淡々と叔母は手当しておりました。

 できものができやすい人は、ビワの種を煎じて飲むや、疲れがひどい時には石菖根(せきしょうこん=菖蒲の根)を煎じて飲むと、疲労回復・腰痛・物忘れに効果するといわれます。5月になると、この菖蒲の根をよく取りに行ったものです。また、ダイエットがなかなか思うように進まない時には、新月の夜にリセットします。新月の日の夕食を可能であれば欠食するのです。欠食が難しければスープなどで我慢します。日ごろは、夜から朝にかけて500gくらいしか減らない体重が、一気に1kg以上落ちます。こうした素晴らしい医療・癒しの方法がありながらも、イリッチ注1)が指摘する「医療化」の台頭に示されるように、人間が本来持つ癒しの力が減退しているのではないかと心配になります。

私が大学院生の時、夜間救急のアルバイトをしていました。ある夜、幼子を抱えた母親と父親そして祖父母の4人が、心配顔で受診に来られました。診察後、医師は風邪と伝え薬の処方をされました。その薬を見て母親は、「この薬は持っています」と答えたのです。私は不審に思い「どうして持っているのですか?」と尋ねると、母親は「ここは、3件目の受診ですから(同日に3つの医療機関を受診していた)」と答えました。

 こうした現実が、問題と言いたいのではありません。統合医療についての関心や知識があったら、もっと他の対応や処置があったかも知れないと思うのです。自己判断に基づく経験的な対応の弊害はもちろんありますが、安心で健全な毎日を送るために、根拠も明示され、ある意味身近になっている統合医療に触れ、考えてみるのもよいのではないでしょうか。

注1)
イヴァン イリッチが、「脱病院化社会-医療の限界-」の中で、現代の医療システムが「医源病」として人々の健康を脅かしているのではないかと、医療化社会を批判している。

【略歴】
専門は、老年看護学、ポジショニング学です。
九州大学大学院比較社会文化研究科において
「看護婦のBurnout現象からみる医療の問題」で博士号を取得しました。
最近では、褥瘡ケア他「ポジショニング学」を極めています。 
 第19回日本統合医療学会プログラム委員

タグ:看護師
posted by IMJ2015事務局 at 15:29 | A私と統合医療