【第9回】坂部 昌明 先生

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『専門分野からみた統合医療』


坂部 昌明 (サカベ マサアキ)
公益財団法人未来工学研究所 客員研究員
森ノ宮医療大学保健医療学部 兼任講師


 私は医療に関する免許制度研究を進めています。私には、現在の日本の医療制度が「実に早急な転換が必要な時期」に差し掛かっているように見えています。これは医療の在り方に対する医療の専門職の考え方だけでなく、日本の制度、また国民全体の考え方にまで及ぶものです。

現在の日本の医療は、疾病の治療を主体とした医療システムであると言えます。しかし、疾病治療型の医療システムでは「患者になりうる国民」を減らすことに貢献できません。既に多くの医療の専門職の方々、あるいは政府、省庁その他行政の皆さんが、現状を打開するため知恵をめぐらせています。しかし、今一つ納得のいく策を講じることができないでいらっしゃるのではないでしょうか。
免許制度は、本来、「国民の生命や健康を保護する」ことを目的としています。医療や介護等の分野(以下、医療介護分野)に携わる場合、免許を受けることが必須となると考えてよいでしょう。しかし、ここで注目すべきは、医療介護分野のみが国民の「生命や健康」に寄与するものではないということです。むしろ、傷病の治療あるいは介護を受けるという場面は、「非日常」です。多くの傷病者や被介護者は、治療あるいは介護を受けていない時間も「生活して」います。例えば住まいに関わる産業、健康の維持増進に関わる産業、あるいは日用品の購入に関わる製造・生産業など多種多様な分野との関係を持って、彼らは生活を続けているのです。

今後、医療介護分野はどれだけ「これまで自分たちと関係がない」と思い込んでいた分野との相互連携できるかが重要になるでしょう。「餅は餅屋に」と言います。医療介護分野は、自らが「担うことのできない分野」について十分に認識し、エアポケット化しうる部分を誰が担うのかを意識すべきです。そして、社会の多様性を鑑み、現在不要に見えるものを除外してしまおうとする考え方に陥らないように留意しなければならないでしょう。

統合医療とは、今後の人類に必要となる医療の在り方へ向かう経過的医療状態を指すキーワードだと、私は考えています。小手先の連携などではなく、大所高所から人類に必要な医療の在り方はなにかという視点で、改めて日本の医療を眺めてみませんか。そうすれば、おのずとみなさんそれぞれの「統合医療のさらに先」が見えてくるはずです。是非とも本大会で、その「在り方」を分け隔てなく語り合いたいものです。

【略歴】
明治鍼灸大学卒業(鍼灸師)。
京都府立医科大学大学院修士課程を修了(医科学修士)
主な研究分野は、法学の視点からの免許・医療制度等。
また山間・島嶼地域の医療への鍼灸の応用可能性を検討している。
第19回日本統合医療学会プログラム委員
タグ:鍼灸師
posted by IMJ2015事務局 at 15:35 | C専門分野からみた統合医療