【第28回】木村 慧心 先生

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『専門分野からみた統合医療』


【氏名】木村 慧心 (キムラ ケイシン)
一般社団法人日本ヨーガ療法学会理事長
一般社団法人日本統合医療学会理事


ヨーガ療法が統合医療の末席に加えて頂いて既に10年近くが経ったと思う。当初の私たちは、世間一般のヨーガ関係者がそうであるような、ただ"こんなヨーガ技法があります""こんなことをしたら〜〜になりました"というような話しかできない状態での、統合医療への参加でした。これでは"医療"とは名ばかりの、"たまたま、こんな薬があったから、なめてみたら、案外に効いた!"というレベルのヨーガ指導報告でした。しかし、種々の医療関係者と一緒になって動く過程で「こんな状況では、クライアントの心身状態を見たてることもなく、その見立てに対して、理屈を持っての対処法も考えずに、ただ、自分の知っているヨーガ技法を指導している」のでは、クライアントの心身状態改善は無理であろうと思うに至りました。しかし、伝統的ヨーガは数千年を経ても今なおインドの地は勿論、全世界的に愛好され実習されているわけで、その実習理由は"心身の健やかさが増した!"という事実が数多く報告されています。現に3年前からのPubMedにおける投稿論文数を見ても、例えば、Yoga and cancerは118 →182 →222、Yoga and depressionは137 →267 →330と、増加の一途をたどっています。しかし、それら論文のどれを取っても見立て(診断)と指導(治療)の背景理論が書かれていないのが実情です。そこで私たち(社)日本ヨーガ療法学会では、私の40年前のヨーガ療法学習の恩師であり、当時唯一のヨーガ療法研究所でもあったカイヴァルヤ・ダーマ・ヨーガ研究所の名誉教授でもある医師のM.ボーレ先生や、世界心身医学会理事長でもあり現九州大学学長でもある久保千春先生はじめ、国内外の碩学の皆様のお知恵をお借りして、3年前に漸くにしてヨーガ療法の見立て理論と指導理論を分かり易くまとめることができました。この度の山口大会においても、そうした理論背景を持ってのヨーガ療法指導が報告されると思います。国内愛好者300万人とも言われるヨーガの世界での健康促進がどの様にしてなされるかを解き明かすヨーガ療法の"見立てと指導理論"を持って、これからも他専門分野の皆様方と我が国の医療のあり方に一石を投じて行きたいと思っています。

1947年  群馬県前橋市に生まれる
1969年  東京教育大学理学部卒業後、京都大学にて宗教哲学、
       インド カイバルヤダーマ・ヨーガ大学にてヨーガ療法を学ぶ
1977年  米子内観研修所開設し、内観瞑想法でヨーガ療法を実施
1981年  日本ヨーガ・ニケタン開設 スワミ・ヨーゲシヴァラナンダ大師より
      聖名(ギヤーナ・ヨーギ)を拝受して得度し、
      ラージャ・ヨーガ・アチャルヤ(阿闍梨)となり、ラージャ・ヨーガ指導を開始
1987年 sVYASA/スワミ・ヴィヴェーカナンダ・ヨーガ研究所/
                ヨーガ大学院大学との協力の下でヨーガ療法士養成教育を開始
2003年 一般社団法人日本ヨーガ療法学会理事長に就任

現在、伝統的ラージャ・ヨーガを日本全国で指導の他にウパニシャッド聖典、ヨーガ・スートラ、バガヴァッド・ギーター、ブラフマ・スートラを講義。ヨーガ療法、内観法をもとに各種研修会、講演、伝統的ヨーガ修行指導等に従事。インドのスワミ・ヴィヴェーカナンダ・ヨーガ研究財団(sVYASA)と協力してヨーガ療法士を養成中。2013年現在、(社)日本ヨーガ療法学会会員2400名。学会認定ヨーガ療法士1300名。日本全国でヨーガ教師、ヨーガ療法士養成講座を実施中。鳥取県米子市在住。

訳書・監修 「魂の科学」「実践・魂の科学」「ヨーガ医学大要」「真理への解放」
「科学で解くバガヴァッド・ギーター」   以上 たま出版
「よくわかる ヨーガ療法」「マタニティ・ヨーガ」「ベビー・ヨーガ」
「アシュタンガ・ヨーガ」「瞑想をきわめる」以上 産調出版 
「母と子のヨーガ」東方出版
共著 「生命の科学アーユルヴェーダ」柏 樹社  
著書 「実践ヨーガ療法」    産調出版

タグ:ヨーガ
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【第27回】福沢 嘉孝 先生

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【新センター設立情報】
『先制医療と統合医療を包括した国内初の新センターの設立』

福沢 嘉孝 (フクザワ ヨシタカ)
愛知医科大学大学院医学研究科
(先制統合医療戦略・健康強化推進学分野)
先制・統合医療包括センター長・教授

 平成27年4月1日付けで,本学では以下の背景及び主旨により,先制医療と統合医療を包括した全国初のセンターが設立されました.日本統合医療学会の会員の皆様のご支援・ご協力を是非とも宜しくお願いします.

《背景・主旨》
最近,健康に対する国民の意識は非常に高揚してきています.その理由の1つとして,悪性新生物(癌)の罹患頻度は,年々増加の一途を辿り,日本人の死亡数の最多な原因疾患を占めているからです.国(厚労省)・愛知県は各々健康日本21(第2次),健康日本21あいち新計画を策定し,中・長期的な視点から生活習慣病を予防し,少しでも『健康寿命延伸』を実現ことにより,個々人の生活の質(QOL)の向上を図ろうとしています.

 本学が存在する長久手市も国・県の健康策定に準拠し,長久手市健康づくり計画(第2次)を遂行中です.本市の人口増加率は県内1位であり,出生率及び生産人口比率も国・県よりも高い比率で推移する特徴を有しています.その点で,本市は県内でも有数の若くて元気な活気ある市といっても過言ではありません.一方,既述の如く,本市も最近の生活習慣病の背景を反映して,悪性新生物(癌)の罹患率が高く,住民の約30%にも達しています.しかも,国・県に比較して全死因に占める悪性新生物(癌)の割合が高いのが特徴です.この様な特徴を有する地域住民の健康寿命を更に延伸させる秘策としては,地域の中核病院としての本学が,1)生活習慣病予防(特に,癌)を未病の段階から(超)早期にリスク診断し,個々人の将来の健康状態を予測する(先制医療),即ち先手を打つことで意識付け・行動変容を惹起させ,生活習慣病を予防・改善・治癒(含,統合医療)に導くことが,本学の担う最大の社会貢献(本学の理念)と考えています.即ち,community-based health promotion(CBHP)の理念でもあります.この方向性は,本市(含,国・県)の「健康寿命延伸」の基本目標とまさに合致しています.

 以上の背景を鑑み,本年4月から先制・統合医療包括センターが理事会承認下,設置されることになりました.そこでの医療に有効なツールの1つとして,本学が提唱するゲノム外来・検診システム(Aichi Medical University Genome System:AMUGeS:アミュージス)があります.本外来では主に,1)癌のmRNA発現リスク診断と,2)長寿遺伝子であるサーチュイン遺伝子のmRNA発現診断(messenger RNA検査:メッセルナ検査)を実施します.これにより,単なる予防医療ではない真の意味でのSelf-medication(セルフメディケーション)が大いに期待できます.
   
   【略歴】
昭和59年:愛知医科大学医学部医学科卒業
平成6年:医学博士取得(肝臓病学専攻)
平成13年:内科学講座消化器内科助教授(臓器別診療科)
平成21年:愛知医科大学大学院医学研究科(医学・医療教
         育学分野)教授・医学教育センター長
平成27年:愛知医科大学大学院医学研究科(先制統合医
         療戦略・健康強化推進学分野)先制・統合医療
         包括センター長・教授
タグ:医師
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【第26回】坂本 歩 先生

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『統合医療に期待していること』


坂本 歩(サカモト アユム)
学校法人呉竹学園 理事長
公益社団法人東洋療法学校協会 会長

 私は、医師であった父の影響もあり、子供の頃から自分も将来は医師になるものと漠然と考えながら育ちました。ただ、父は、大学で教鞭を執りながら祖父が設立した伝統医療(鍼灸、柔道整復)の学校にも関わっていたこともあり、常に西洋医学一辺倒の考え方をしていなかったので、それが私の医療に対する思考をやや複雑にしたのではないかと考えています。また、私が医学部を卒業する頃、その後教えを請うこととなる恩師である教授と出会い、自分の考え方をお伝えしたところ、「私は弟子をとるつもりはない。同志が欲しい。君はまさにその同志である」と言われ、まんまとその先生の門下生となったことが、さらに私のその後に影響したのだと思っています。

 医師として循環器内科の研修と心臓病の予防に関する研究活動を12年ほどやっておりましたが、慢性疾患を有する患者さんに自分がいったい何をできているのかと疑問を持つようになりました。即ち、医師がトップのヒエラルキーで構成される医療体制では、本当の意味で患者さんの役には立たないのではないかという考え方に傾倒していったわけです。

 我が国をはじめ先進諸国では、慢性疾患や慢性疼痛に悩まされる方々が、今後も増え続けていくことでしょう。そのような方々に対する適切な医療とはいったいどんなものなのでしょうか。少なくとも慢性と言われる状態は、完治していないことを意味指すものであり、現在の医療の限界を示しているのかもしれません。もし、そうであれば、必ずしもガイドライン通りでなくとも患者さんの満足度が高い或いは納得ができる医療を施すことが現状で最良の方法とも考えるのです。そして、統合医療は、その最良の方法を具現化する可能性を持っていると思量します。多岐にわたる専門性を有する先生方とこのような事柄を議論できる場は本学会をおいて他にはなく、今後の更なる発展を期待しております。

【略歴】
昭和63年東京医科大学卒業
平成4年東京都健康づくり推進センター医学指導主査
平成8年東京医科大学講師
平成11年学校法人呉竹学園理事長

平成21-26年公益社団法人全国柔道整復学校協会会長
平成26年〜公益社団法人東洋療法学校協会会長                          
タグ:医師
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