【第52回】北 虎哲 先生

2015年8月14日○052北 虎哲2.jpg


『己を知ることが第一歩』



北 虎哲(キタ コテツ)
(公社)日本鍼灸師会青年委員会副委員長
(公社)富山県鍼灸マッサージ師会理事 組織・青年部長
富山鍼灸学会 総務部長

 本年の4月に、私が所属する(公社)富山県鍼灸マッサージ師会の定期学術講習会として、砺波総合病院における東洋医学科(鍼灸・漢方)と他科との連携、外部鍼灸院との地域連携の講演が行われました。
この中で、院内での鍼灸の提供にはベッドの数はもちろん、通院距離などの問題から限界がある為、出来れば地域中核病院と開業医院の関係の様に、砺波総合病院東洋医学科と地域の鍼灸院の間で地域連携ができたらありがたいという事を東洋医学科主任の医師から仰って頂きました。

 現状は、病院・医師の側には鍼灸師・鍼灸院の情報がまるでなく、同科中心で行っている勉強会を通じて知り合った近隣の鍼灸師に依頼をする程度のことしか出来ずまだまだ課題が多いとのことでした。

 これに対して、では地元の業団ですぐに対応出来ることはなんだろうか?と考えましたが、会員名簿をお渡しして鍼灸院を紹介している業団のWebサイトのご利用を薦める程度のことしか出来ないという事を少し残念に感じました。

 この例はまだまだ希だとは思いますが、これから10年掛けて地域包括ケアシステムが構築されていく中で、はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師が、介護予防運動の指導をする程度の関わりしかもてない状況をこのまま業団が座視する事は無いはずです。

 必ず、本業である"鍼灸マッサージによるQOLの改善"をベースにした介護予防やさらにいえば寝たきりからの回復などにも大きく貢献していける事をアピールし、それらの役割を担う事を求めていくことになる筈です。

現在鍼灸の受療率はデータの上では5%あまりと言われます。
 なぜこれほど受療率が低いか?現場で患者さんに接していて言われる事は「どの鍼灸院に行けば良いか解らない」「良い鍼灸院が近くにない(知らない)」ということです。

そのような情報不足の状況から患者さんのニーズと鍼灸院が提供している施術のマッチングのミスが起こっている事が大きな原因ではないかと私は思っています。

 また、養成学校の乱立により鍼灸師の数は倍以上にふくれあがってはいますが、それでもまだまだ十分な数の鍼灸院が日本全国に遍在しているとは言えません。

 結果として「受けたい施術を通院に便利な地域で受けられない」というミスマッチが生じ、さらに自分のニーズにマッチする鍼灸院を見つける努力やリスクは患者さん側に押しつけてしまっている現状である事が、現在の低受療率という結果を招いているのではないかと思います。

 では、それを解消するには鍼灸業団はどうしたら良いのか?
業団の外の医療者との連携をとれる人材の育成や交流という事も非常に大切なことですが、もう一つ大切なことは、まず第一に鍼灸マッサージ業団として自分達は何をもっているのか?自分達の中には何ができる人がいるのか?を正確にきめ細かく、さらにリアルタイムの状況を知っておくことがとても大切な事だと思います。
提供できる物がリアルタイムで把握できていなければ、求められた際・また提案する際にミスマッチを起こしてしまいます。

 その為には、やはり業団の組織統合を進め、太い根幹となるネットワークを作ることが大切な事だと思います。窓口を統合し管理業務を統合省力化し、同業者の多くが所属し、また活かされていく組織作りです。

 そうして、医療・介護職種と有機的に連携を計ることで、前述のマッチングのミスをなくし、鍼灸マッサージの恩恵を受けることができる患者さんに、十分にその恩恵が行き渡る様にしてゆくこと、そういう体制を業団として用意していくことが大切だと思います。

統合医療の中で、鍼灸マッサージが求められた際に、専門職として最適な形で十分に提供ができる事。"国民の健康の為に鍼灸マッサージを活かしてもらいたい"との想いを叶えるには、活かしてもらいやすいように自分自身の情報を整理して提供しやすく状況を作っておくことが、地味ですはありますが大切な土壌作りではないかと考えます。

【略歴】
 昭和49年(1974年)6月生まれ。
 平成9年 呉竹学園「東京医療専門学校」鍼灸科 卒業。
 平成9年 はり師・きゅう師国家試験合格。はり師・きゅう師免許取得。
 平成13年 本町北はり灸院を開業。

 (公社)日本鍼灸師会青年委員会副委員長
 (公社)富山県鍼灸マッサージ師会理事 組織・青年部長
 富山鍼灸学会 総務部長


タグ:鍼灸師
posted by IMJ2015事務局 at 09:30 | C専門分野からみた統合医療