【第55回】渥美 和彦 先生

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『これからの医療』


渥美 和彦(アツミ カズヒコ)
東京大学名誉教授
日本統合医療学会名誉理事長

平成23年3月11日、東日本大震災以後、医療の在り方が大きく変った。それは、
1)従来の治療中心の医療から、予防・健康中心の医療へ
2)エネルギーを消費する医療からエコ医療へ
3)自分の健康は、自分で守るセルフケアの医療へ
そして、健康・医療が変るためには、個人の衣食住のみならず、社会や自然環境の健全化が重視されるようになった。
このように考えると、近代医学と伝統医療や相補代替医療を統合する統合医療が、これからの医療ということになる。

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【第54回】渥美 英子 先生

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『統合医療は「人を生かす」』


渥美 英子(アツミ エイコ)
日本統合医療学会 常任相談役


私の統合医療の原点は、父荒川一郎にある。明治29年、美濃、木曽川沿いの医師の長男として誕生。日露戦争後の銀行倒産で家業は没落し、一家で上京。授業料が安いと府立一中、一高、東大医学部卒業。卒業後臨床医を志し、当時私立として一番大きな病院であった杏雲堂の内科で研修中、同じく研修医の綾と恋愛結婚。二人で東京駅に近い京橋で開業。関東大震災後の大正13年のことであった。
以後、約40年間、娘夫婦に引き継ぐまで、町医者を務めた。父は親に「おまえは、偉くなる必要はない。金持ちになる必要もない。ただ、患者に恥ずかしくない医者になれ」の教えを守り「医は仁術」を実践、体の病気だけでなく、心の病気にも深い関心をもち、心身共に健康でなければ真の健康とは言えず、これを守るのが医師の務めであるとの信念を持ち続けていた。

「患者を生かす」これが父の持論であった。ただ病気を治すだけではない。その人の背後に何かがあってそれが病気の根源となっている。例えば商売がうまくいかないとか、ものの考え方が悪いとか、あるいは不摂生だとか。その不摂生にも種類があるし、度合いも違う。そのような事柄をよく分析した上で総合的判断を下して病気の原因を取り除かなければならない。薬だけでそこまで取り除くことができるものではない。またそこまでやるのでなければ本当の医者にはなれない。そして、そこまで行くと、医者というものは実に面白いものである、と。
まさにこれが統合医療ではないだろうか。

統合医療は「人を生かす」ことである。

【略歴】
1930年東京生まれ。1955年東京女子医科大学卒、1956年同大学細菌学教室  助手、1958年東京大学第一生理学教室研究生、1961年医学博士の学位受領、1974年調布学園女子短期大学保健理論講師、1989年多摩大学保健理論講師
実家は代々続く町医者。両親、3人姉妹も医師。
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【第53回】赤木 純児 先生

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「Evidence-based 統合医療の樹立のために」


赤木 純児(アカギ ジュンジ)
玉名地域保健医療センター院長
日本統合医療学会熊本県支部長



本年5月に、日本統合医療学会九州ブロック大会を主催し、230名の医療関係者に参加して頂き、大変盛況のうちに終了することができました。今回は、私が日頃行っている統合医療(免疫治療、ハイパーサーミア、漢方治療、CART療法)に関して、それぞれの専門家に講演して頂きました。特に、免疫治療に関しては、その免疫的指標という意味で、私は統合医療おいて大きな期待を寄せています。

 統合医療は、多種多様なものがありますが、その共通のコンセプトは、西洋医学では完全に無視されている、自然治癒力の強化ではないかと考えます。しかし、自然治癒力を客観的な数字などで表現することは現在の医学では不可能なのが現状です。私は、自然治癒力≒免疫力と解釈して、免疫力を評価することで自然治癒力もかなりの確かさで評価できるのではないかと考えています。統合医療の発展のためには、自然治癒力・免疫力の判定方法を確立する必要があります。この中でも最も簡便な方法として、我々が用いている好中球/リンパ球比があります。この値は、統計部癌、乳がん、肺癌、胃癌、肝癌、大腸癌などで、予後予測因子になることが報告されています。我々が行なっている低容量化学療法併用温熱療法の症例でのNLRは、カットオフ値が2.6で、NLR>2.6の症例はNLR<2.6に比して予後不良でした。また、CR, PR, SDになる症例のほとんどは、治療後にNLRが低下した症例でした。このNLR値は癌患者の免疫抑制に関与しているMDSC(骨髄由来免疫抑制細胞)とよく相関することが知られており、この意味でNLRは癌患者の予後を反映していると考えらます。

 一方、我々が用いているもう一つの免疫パラメータである、CD27/CD70/CD57系は、T細胞上でcostimulatory factorとして免疫調整に重要な役割を果たしているCD28/CTLA4/CD80/CD86と同様に、やはりcostimulatory factorとして抗腫瘍免疫と免疫寛容の両者を制御しているということで、最近注目を集めています。CD27は、TNF receptor superfamilyに属しており、T細胞のシグナル伝達に関与していることが知られています。我々は、CD27/CD70/CD57系で、CD27+CD57? T細胞が増加する場合には予後不良に働き、CD27?CD57+ T細胞が増加する場合には予後良好に働くことを報告してきました。やはり、CR,PR, SDになる症例のほとんどが、治療後に、CD27+CD57? T細胞が減少し、CD27?CD57+ T細胞が増加する症例でした。Treg(CTLA4)は我々の系では予後との相関は認められませんでした。

 このように、末梢血中リンパ球のCD27/CD57の発現、そしてNLRを測定することによって、患者の免疫状態を把握することができると考えます。

  今後の課題として、これらの免疫判定パラメーターを用いて、例えば、客観的な効果判定が困難である、ヨガ療法や瞑想療法などの治療施行前後でこれらのパラメーターに変化が出るのかどうかを調べていきたいと考えています。

【略歴】
1983年3月  宮崎医科大学卒業
1983年4月  熊本大学医学部附属病院第二外科入局
1984年10月  熊本市民病院(外科、麻酔)
1989年3月  熊本大学医学研究科博士課程修了
1989年4月  国立宮崎病院
1991年7月  熊本大学医学部附属病院第二外科
1992年11月  米国NIH(NCI 米国国立がん研究所)
       (Tumor Immunolgy & Biology(Lab), Dr Schlom)
1995年4月  熊本大学医学部附属病院第二外科
1998年7月  玉名地域保健医療センター外科部長
2000年6月  国立病院機構熊本南病院診療部長
2010年4月  玉名地域保健医療センター院長

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