『渥美和彦先生との出会い』
柴田 眼治 (シバタ ゲンジ)
日本統合医療学会 山口県支部 支部長
医療法人社団水生会 柴田病院 理事長
このたび平成27年(2015年)12月12日(土)〜13日(日)に第19回日本統合医療学会(IMJ2015山口大会)を山口県山口市内の山口市民会館にて開催いたします。大会長を仰せつかりましたので、微力ではありますが精一杯、重責を務めさせていただきます。
大会テーマは『Art&Science with Humanity』としました。全人的・包括的医療を実践していく上で、私どもの重要なテーマと思います。
私が『統合医療』と出会ったのは、15年前の平成12年(2000年)にまでさかのぼります。渥美和彦名誉理事長が日本医学会総会にて特別講演をされた時でした。大学では消化器外科医として食道がん治療を専門に従事していましたが、当時は、術後のがん再発が多く、ターミナルケアに大変悩んでいました。また、がん以外の病気でも心身の苦痛やSpiritual painに苦しむ方々と共に闘病生活を経験するうちに現代医療だけでは不足していることが判りました。開業した後も活路が見いだせず混沌とした医師人生を送っている最中、統合医療との出会いがありました。私にとって、非常に新鮮で、興味深く、医療に新しい展望が開けたと感銘を受けたのを昨日のことように覚えています。
その後、平成16年(2004年)10月30日には「JACT山口特別大会〜医療と宗教の共鳴〜」を開催し、山口支部が認定され、発足してから早や10年が経過したところです。
山口支部の活動としては、統合医療を自院や地域で行いながらWHOが提言している「心と身体と魂のケア」の実践に励んでいるところです。
地域医療に根差した医療実践を積む中で近年危惧することは、Scienceの発達により現代医療が飛躍的な進歩を遂げ、多様な治療が行えるようになった一方で、誰しもが備え持っていたヒトとして失くしてはならない「大切な何か」を置き忘れてきているように感じることです。そこで、サブテーマは「ヒトはBody,Mind,Spiritの存在」としました。
今の社会は物質的には豊かになりましたが、複雑で多様な構造によって生活習慣病やメンタルヘルスの異常が増加してきています。そんな時代であるからこそ、現代医療に加えて伝統医療や相補代替医療が役立つ時代であり、Spiritualな面からの癒しの提供も可能かと思います。
ヒトとは何なのか?そして、医療者としてあるべき姿は何か?ということと大会テーマをキーワードに皆様方から活発なご討議が展開されることを期待いたしております。
最後に「明治維新策源の地」である山口市において、当時の幕末維新の志士たちが近代国家づくりに大きな夢を抱いたように、大会に参加された皆様方が21世紀の新たな医療の幕開けを告げる「平成の医療維新の志士」となり、日本医療がさらに前進する事を祈念いたします。本大会を開催するにあたり、IMJ山口県支部一丸となって鋭意準備をすすめて参る所存でございますので、皆様の多数のご参加とご支援・ご協力を賜りますよう心よりお願い申し上げます。
第19回日本統合医療学会(IMJ2015山口大会)
大会長 柴田 眼治
【略歴】
昭和41年 東京医科大学 医学部 卒業
昭和42年 京都大学医学部第2外科入局
昭和51年 山口大学医学部 第2外科講師
昭和61年 医療法人社団水生会 理事長 就任
平成16年 日本統合医療学会 山口県支部 支部長
第19回日本統合医療学会(IMJ2015山口大会) 大会長
タグ:医師
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