【第2回】理事長 仁田 新一 先生

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『私と統合医療との出会い』


仁田 新一 (ニッタ シンイチ)
一般社団法人日本統合医療学会理事長
東北大学名誉教授


 私の知人からよく「近代医学の最先端で活躍していた先生がどうして統合医療に手を染める様になったのか?そういえば現役の大学教授を辞めると途端に怪しげな領域に飛び込む人がよくいますね」と好奇心の塊のような質問を受けることがあります。統合医療との出会いは決して近代西洋医学を否定したのではなく、純粋に科学技術を駆使して東洋医学領域の脈診や鍼灸、気功などの効能とそのメカニズムの解明が可能なのではないかという一科学者の好奇心からスタートしたものです。そのきっかけを作ってくださったのがソニーの創始者の井深大さんでした。それは1980年後半でしたが東大教授の渥美和彦先生と一緒にソニーの脈診研究所に呼ばれ「私は工学研究者なのですが近代西洋医学には限界があるが、脈診などの東洋医学は科学的検証がなされにくいので、ぜひ先生たちの力で科学的根拠付けをしてほしい」との要請を受けました。渥美先生も私も人工心臓の開発と臨床応用を研究テーマとしていましたので、健康な脈とか病的な脈の機械的な再現はお手の物でした。早速脈診に用いる三個の動圧センサーを開発し、健康なものと種々の動脈硬化を再現した人工血管を作り人工心臓をポンプとし、流体は任意の粘性の人工血液を使い人工循環システムを作成して実験を行ないました。脈は心臓、血液、血管、センサーに当たる皮膚などの条件が変わるとそれに応じて特異的な脈が生まれます。このシステムを使うと色々な病態の脈診を再現できることになったのです。今も指先にセンサーを置いて災害地や過疎地域、飛行機や船舶などの移動体での双方向通信を用いた遠隔救急医療の役に立てようとしています。
 今から約40年前に始まった私の統合医療研究が統合医療学会の皆様と一緒に被災地や時代の要請を受けて、国民に新しい未来型医療として受け入れられる素地がようやく固まろうとしています。これからの医療は単に医師看護師などの特別な領域ではなく、国民一人ひとりが自分の健康を守る時代になります。その時のパートナーとしての各種療法の宝の山である統合医療が大きな役割を果たすようになります。

【略歴】
昭和 41年 東北大学医学部医学科卒業
昭和 49年 米国ベイラー医科大学研究員
昭和 56年 東北大学抗酸菌病研究所助教授(東京工業大学併任)
平成  8 年 東北大学加齢学研究所教授(東京工業大学併任)
平成 10年 東北大学副総長
平成 15年 東北大学加齢医学研究所臨床医工学研究部門教授
平成 22年 東北大学名誉教授(現)
 第19回日本統合医療学会 名誉大会長
タグ:医師
posted by IMJ2015事務局 at 00:00 | @統合医療との出会い