【第30回】上馬塲 和夫 先生

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『統合医療とは、医療の当たり前の姿』


上馬塲 和夫( ウエババ カズオ) 
帝京平成大学ヒューマンケア学部教授
一般財団法人日本東方医学会理事長         

 統合医療と言うと、何か現代医学とは異なる補完代替医療の一部門をイメージする人も多い。しかし、統合医療とは、種々の有効な治療を組み合わせて全人間的に、チーム医療で取り組むことで、疾病の治療と予防、リハビリテーションと介護を行い、最終的に、人間の健康で幸福な長寿や幸福な死を目指すものであると私は考えている。これは正に医療本来の姿ではなかろうか。器官・臓器別に発達した現代医学が、人間を全体的に診る視点が欠けるのはやむをえないとして、医学の発展のためには統合医療の全人間的な視点が必要となることは、医療者なら認識できることであろう。つまり、補完代替医療と現代医学を統合した統合医療とは、現代医学の先をいく医療の進歩した姿だと思う。

 では、人間全体とは、生命とは何であろうか? 私は、そのような全体的な生命観や身体観を、古代の叡智に尋ね、最も古い伝統医学を紐解いてきた。その結果、古代インドから伝えられたアーユルヴェーダやヨーガに、全人的な生命観や身体観が語られていることを発見した。つまりアーユルヴェーダは、その名前の如く「生命の科学」として、生とは健康とは何かを定義するだけでなく、死をも定義して、健康で幸福な長寿と幸福な死に方を説いたものである。また治療において、医療者だけでなく、看護人、患者自身、薬草など治療法、の4つが必須となるとするチーム医療の重要性も説いている。

 アーユルヴェーダやヨーガでは、ボディ・マインド・スピリットからなる生命を仮定し、身体の内側からのアプローチ(内治)、皮膚からアプローチする外治、内治でも外治でも不内外治として運動やヨーガなどを統合して、心身の浄化(ショーダナ)と緩和療法(シャマナ)を、患者自身も含めたチーム医療で行うことを指示しているのである。

 このように、古代から人類が培ってきた叡智による全人間的な生命観と身体観、治療観に基づいて、患者自身も含めたチームで、病を癒し、防ぎ、健康で幸福な長寿を実現することを目指す本来の医療の姿こそが、現代よりも進歩した医療の本来の姿である統合医療となっていくことで、人類が進化することになるのではないかと私は考えている。

【略歴】
昭和53年広島大学医学部医学科卒業後から東西医学融合をライフワークとし、
虎の門病院内科レジデント、北里研究所付属東洋医学総合研究所、富山県国際伝統医学センター、
富山大学和漢医薬学総合研究所を経て現職。



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posted by IMJ2015事務局 at 16:38 | A私と統合医療