【第33回】河野 貴美子 先生

河野 貴美子.jpg


『統合医療を、そして人間を考える』


河野貴美子 (カワノ キミコ)
国際総合研究機構副理事長
同生体計測研究所副所長

 私が統合医療の分野に関わるようになったのは、今を遡ること約30年、生理学教室に新規赴任された品川嘉也教授のもとに脳波計が寄贈されたことがきっかけ、と言えるでしょうか。私がその担当として、計測にあたることになりました。

 当時は、科学も医学もどんどん細分化されていく方向で、生理学は細胞から膜、さらに分子へという方向こそが「研究」という風潮が感じられる時代。「えっ? 脳波を測って・・さて?」ととまどったのも事実です。物理学のようにきちんと数式で表せ、モノがはっきり示せてこそサイエンス、と思っていた私にとって、生物学や生理学でも、ある意味「いいかげん」に思えたものでしたが、脳波に移ってさらに「いいかげん」にしかみえない結果をどう解析していけばいいか、とまどいと共にもどかしさを感じていました。

 しかも、当時としてはかなり高価な脳波計は、臨床の場には当然設置されていたものの、基礎医学の中で自由に使えるものはあまりなかったため、通常の医療の場ではできない様々な実験が持ち込まれることになったのです。

 まず催眠、そして気功、瞑想、各種ヒーリング、等々、大学における医療の場ではその頃はむしろ避けていた分野ばかりです。私自身も体験したことのない、知らない世界でした。

 とまどいながらも、わからないながらも数多く測るうち、モノとして示せない中に何かあることが、少しずつ見えてきます。切り刻んでしまったのではわからない「人間」を研究する視点を、計測にご協力いただいた実に幅広い職種のさまざまな方々から、いろいろ教えていただいたように思います。狭い大学の中だけではわからない世界が大きく広がりました。

 まだまだこの分野が十分に社会的コンセンサスを得たとはいえない現在、あくまでも「科学的」といわれるデータを求める科学の世界と実践者たちの思いの世界との橋渡しになるよう、今後も多くの計測をしながら、「人間とは?」、そして「意識とは?」と考えていきたいと思っています。

【略歴】
立教大学理学部物理学科卒業、
日本医科大学生理学教室を経て
同大学基礎医学情報処理室(情報科学センターに改称)
他に、東京都済生会看護専門学校講師
東邦大学理学部生命圏環境科学科非常勤講師

タグ:その他
posted by IMJ2015事務局 at 16:22 | A私と統合医療