【第54回】渥美 英子 先生

2015年9月9日054渥美 英子.jpg


『統合医療は「人を生かす」』


渥美 英子(アツミ エイコ)
日本統合医療学会 常任相談役


私の統合医療の原点は、父荒川一郎にある。明治29年、美濃、木曽川沿いの医師の長男として誕生。日露戦争後の銀行倒産で家業は没落し、一家で上京。授業料が安いと府立一中、一高、東大医学部卒業。卒業後臨床医を志し、当時私立として一番大きな病院であった杏雲堂の内科で研修中、同じく研修医の綾と恋愛結婚。二人で東京駅に近い京橋で開業。関東大震災後の大正13年のことであった。
以後、約40年間、娘夫婦に引き継ぐまで、町医者を務めた。父は親に「おまえは、偉くなる必要はない。金持ちになる必要もない。ただ、患者に恥ずかしくない医者になれ」の教えを守り「医は仁術」を実践、体の病気だけでなく、心の病気にも深い関心をもち、心身共に健康でなければ真の健康とは言えず、これを守るのが医師の務めであるとの信念を持ち続けていた。

「患者を生かす」これが父の持論であった。ただ病気を治すだけではない。その人の背後に何かがあってそれが病気の根源となっている。例えば商売がうまくいかないとか、ものの考え方が悪いとか、あるいは不摂生だとか。その不摂生にも種類があるし、度合いも違う。そのような事柄をよく分析した上で総合的判断を下して病気の原因を取り除かなければならない。薬だけでそこまで取り除くことができるものではない。またそこまでやるのでなければ本当の医者にはなれない。そして、そこまで行くと、医者というものは実に面白いものである、と。
まさにこれが統合医療ではないだろうか。

統合医療は「人を生かす」ことである。

【略歴】
1930年東京生まれ。1955年東京女子医科大学卒、1956年同大学細菌学教室  助手、1958年東京大学第一生理学教室研究生、1961年医学博士の学位受領、1974年調布学園女子短期大学保健理論講師、1989年多摩大学保健理論講師
実家は代々続く町医者。両親、3人姉妹も医師。
タグ:医師
posted by IMJ2015事務局 at 16:11 | A私と統合医療