【第24回】岡 美智代 先生

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『統合医療が患者様にもたらすeaseの追求』


岡 美智代 (オカ ミチヨ)
群馬大学大学院保健学研究科 教授 


 わたしが統合医療に関心がある理由は、患者様にeaseになってほしいという思いからです。'ease'、つまり、身体的にも精神的にも楽に、楽しくなってほしいということです。

 私の専門は慢性看護学であり、特に生活習慣病などの慢性疾患をもつ患者様の食事療法や運動療法などの実行度を高めるための行動変容支援を専門にしています。しかし、行動変容支援は、時に患者様の好きな食事の制限や、嫌いな運動を勧めることを伴うため、患者様には耳の痛いお説教もどきになることもあります。私自身も、わかっているのに改善できない行動があるのに、患者さんだけにお説教するのも心が痛んでいました。これでは、easeにdisがついてしまうのではないかと思うくらいでした。医療者の関わりが原因で、diseaseになってしまっては、しゃれにもなりません。

 少し話は変わりますが、わたしが統合医療に興味を持ったのは、1990年代後半であり、まだ日本代替・相補・伝統医療連合会議(JACT)と日本統合医療学会(JIM)が統合する前でした。(正直、当時はどちらの会に自分が入っているのかわからず混乱していることもありました。)

 当時は、アロマセラピーなど統合医療の中の何かが、看護師が行う治療として医療現場で応用できるのではないかと考えていました。2005年にはメイヨークリニックに行き、当地での統合医療の実際を見学してきたほどでした。 しかし、専門である、行動変容支援の必要性にかられ統合医療からは少し距離を置くようになりました。

 ところが、1〜2年前から、また統合医療に再度関心がわいてきたのです。今度は、気候療法を活用した運動療法です。気候療法はドイツなどで開発されたもので、自然の中で楽しく運動する方法です。お説教しなくても、楽に、まさにeaseに運動できるのです!!2014年度から気候療法で科研費もいただいていますので、今後は、ちょっと本腰を入れようと思っています。気候療法とeaseの関係、そして統合療法がどれだけeaseをもたらすのかも、追求ようと思っています。

 最後になりましたが、第19回日本統合医療学会(IMJ2015山口大会)の招請講演では、親友のWendy Chaboyer教授に来てもらうことになりました。

 彼女は7月にプエルトリコで開催される国際学会の、ゲストスピーカーとしても招聘されています。

 オーストラリアの彼女の研究室には、病院で撮影した、彼女が患者さんを見守る写真が貼ってあります。その写真の中の彼女のまなざしはとても優しく、今回のテーマのhumanityにぴったりです。Wendyの講演は、12月13日です。多くの方がいらっしゃることを期待しています。http://www.imj2015.com/program/

【略歴】
順天堂看護専門学校卒業 看護師免許取得
虎の門病院勤務
筑波大学大学院博士課程修了, 博士(医学)取得  
山形大学医学部看護学科 助教授
H18.4より現職

タグ:看護師
posted by IMJ2015事務局 at 16:11 | A私と統合医療

【第23回】土井 麻里 先生

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『私と統合医療』


土井 麻里 (ドイ マリ)
脳神経リハビリ北大路病院心療内科医長
日本統合医療学会代議員、指導医


私が統合医療に興味を抱いたきっかけは、大きく3つあります。一つ目は、自分の父を食道がんで亡くしたことでした。当時私は20代前半の医学生でしたが、従来のがん治療だけで本当に十分と言えるのか、治癒力を増進させること、生活の質や人生を含めた医療の視点もあってもいいのではないか、父の闘病を通して、患者家族という立場から疑問を持ちました。次に、医師となり日常臨床の中で、従来の医療だけでは不十分な局面を体験したこと、多忙な生活から来る心身のストレスで自分自身の健康が損なわれた体験、それらの体験を通して、医師として、また一人の人間として、代替療法を含めた、よりトータルな医療、つまり「統合医療」が必要ではないかと実感させられました。そのため、種々の代替療法を自ら体験し、さらにはその手法を学び、取り入れることのできるものは取り入れ、今に至っています。その中で、現在、私が主に使用している代替療法は、心理療法、ホメオパシー、呼吸法や筋弛緩法などのリラクセーション法で、漢方もできる範囲で活用しています。しかし、患者さんによってそれ以外の療法が適している、必要な場合ももちろんあります。その時は、代替療法の相談にあたらせていただいて他の代替療法を薦めたり、他の専門治療家と協力し合って対応することもあります。また、統合医療臨床で重要なこととして、確かな医療技術や医学的エビデンス以外に、「癒し」という側面があげられます。一般に、癒しというと、安楽を意味するととらえられがちですが、統合医療においては、セルフケアやその体験を通した個人の成長・成熟、他者とのつながりといったことも含まれてくると思います。それだけに、統合医療の学びと実践は非常に奥が深く、終わりのない旅のように思えます。患者さんと共に取組み、また仲間と共有しながら、より質の高い統合医療を実践していきたいと思っております。

【略歴】
関西医科大学卒業。
Nature Care College(豪州)エネルギーヒーリング学科卒業。
日本心療内科学会登録医
日本ホメオパシー医学会専門医、北陸関西支部長。
森ノ宮医療大学大学院非常勤講師。
著書「スピリチュアルヘルス宣言」「愛と光にめざめる女神事典」

タグ:医師
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【第17回】小池 弘人 先生

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『ジャングルカンファレンスからの力』


小池 弘人 (コイケ ヒロト)
小池統合医療クリニック院長
統合医療カンファレンス協会代表理事


 東京で統合医療専門の小池統合医療クリニックを開設して8年が経ちました。統合医療の臨床において、最も手薄な領域とも言える相談型、支援型の外来を展開しながらも何とか今日までやってくることができました。これは様々な方のご支援に加え、カンファレンスという場におけるセラピストをふくめた医療従事者の方々のご助言、ご助力によるところが大きいと感じております。

 現在、8年間継続している自院での統合医療カンファレンスに加え、2か月に一度、代々木のウィルワンアカデミー様のご協力のもと、公開カンファレンス形式の「ジャングルカンファレンス(JC)」を開催しております。どちらも、アリゾナ大学の統合医療プログラムにおいて週一回開催されているラウンドテーブルカンファレンスを源とし、私が試行錯誤を繰り返しながら開催してきたカンファレンスです。

 通常の臨床病理カンファレンス(CPC)のような「唯一の正解」に至る形式ではなく、多元主義的な、ある意味でアイデア創出を目的としたブレインストーミングに近いものです。これにより、参加者は多様な視点を持つことができ、他の職種を理解し連携することも可能になってきます。具体的には、症例に対し様々な職種の立場から、見立てや意見を述べていく、そしてそれに対しては、とりあえず批判や否定はしない。一通りの意見が出てから、改めて議論を開始する、といったものです(詳細は本稿では紙面に余裕がないので、拙著『統合医療の考え方活かし方』をご参照いただけましたら幸いです)。
本年(2015年)、このジャングルカンファレンスの定期開催と拡大を目的として「一般社団法人 統合医療カンファレンス協会(IMCI)」を設立致しました。統合医療の実現におけるカンファレンスの重要性を理解し、立ち上がってくれた仲間たちとの第一歩です。

 統合医療は多職種連携をその要とします。カンファレンスはまさに多職種連携そのものであり、また参加者の生涯教育にもなりうるものです。そして私自身もこのカンファレンスから力をもらい、統合医療の実現に日々邁進していきたいと考えています。

 本年開催される山口大会では、この統合医療カンファレンス協会のさらなる成果を発表したいと思います。

【略歴】
1995年群馬大学医学部卒業
2001年同大学院卒業 博士(医学)
2001年同大学医学部助手(学内講師)
2004年アリゾナ大学統合医療プログラム修了
2007年小池統合医療クリニック開院
タグ:医師
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